建設業許可の許可要件
建設業許可を受けるためには建設業法7条に規定された4つの許可要件を備えていることと、同法8条に規定された欠格要件に該当しないことが必要となります。
4つの許可要件
要件1 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うことができる者であること
要件2 許可を受けようとする建設業に係る建設工事について専門的知識をもった専任技術者を設置すること
要件3 請負契約の締結やその履行に際して誠実であること
要件4 建設業を行うに当たってある程度の資金を確保し財産的基礎があること
要件1 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うことができる者であること
(1)主たる営業所に「経営業務の管理責任者」を置くこと
建設業の経営は他の業種の経営とは大きく異なった特徴を持っているため、適正な建設業の経営のために建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が最低でも1人は必要とされています。
この建設業の許可を受けるにあたって必要とされる管理責任者を経営業務の管理責任者と呼びます。
経営業務の管理責任者の具体的な要件は以下のとおりとなります。


(2)適正な社会保険への加入
適切な社会保険の加入も建設業許可の許可要件となっています。
健康保険・厚生年金保険…適用事業所に該当する全ての営業所について、その旨を届け出ていること
雇用保険…適用事業の事業所に該当する全ての営業所について、その旨を届け出ていること
要件2 建設工事について専門的知識をもった専任技術者を設置すること
建設工事に関する請負契約を適正に締結し、履行するためには、許可を受けようとする建設業の建設工事についての専門的な知識が必要になってきます。
そのため営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関しての一定の資格または経験を有した者を設置することが法により求められています。
この一定の資格または経験を有した者を専任技術者と呼びます。
専任技術者は営業所に常勤していることが必要です。
専任技術者の要件
《一般建設業の許可の場合》
[1]-1 指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
[1]-2 指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者又は専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士若しくは高度専門士を称する者
[2] 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者
[3]-1 国家資格者
[3]-2 複数業種に係る実務経験を有する者
《特定建設業の許可の場合》
[1] 国家資格者
[2] 指導監督的実務経験を有する者(上記【一般建設業の許可の場合】の専任技術者要件を満たしている者で、かつ、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものについて2年以上指導監督的な実務経験を有する者)
[3] 指定建設業7業種に関して、過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格した者若しくは国土交通大臣が定める考査に合格した者(一級の国家資格・技術士資格・大臣認定が必要)
※ 指定建設業7業種
土木一式工事、建築一式工事、電気工事、管工事、鋼構造物工事、舗装工事、造園工事
要件3 請負契約の締結やその履行に際して誠実であること
建設業の契約は規模や金額が大きいため請負契約の締結やその履行に際して不正や不誠実な行為をするおそれがないよう、許可を受けようとする者には誠実さについても審査されることになります。
審査の対象となるのは以下のとおりです。
個人事業主 | 事業主、支配人、営業所の代表者 |
法人 | 当該法人、建設業の営業取引において重要な地位にある役員等(非常勤を含む役員、支配人、営業所の代表者など) |
要件4 建設業を行うに当たってある程度の資金を確保し財産的基礎があること
建設工事を行うにあたり、資材や機械器具等の購入、労働者の確保など多額の資金が必要となります。そのため、建設業の許可を受けるためにはその規模の工事を請け負うことができるだけの財産的な基礎を有していることが許可の要件のひとつとして規定されています。
《一般建設業の許可の場合》
・自己資本が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力を有すること
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
《特定建設業の許可の場合》
・欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
・資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること